ダンスで教わるよくあるアイソレーション

僕が大学生になってストリートダンスサークルに入ったとき、先輩たちに教わったアイソレーションは、首・胸・腰の3箇所でした。これはダンスをやっている人なら誰もが通る、基本中の基本です。
在学中は、そこからさらに自分なりに肩、膝、肘、手首、足首と、思いつく限りの関節を意識してアイソレーションの練習を重ねました。もちろんリズム取りの練習も欠かさず、お腹を含めた体幹、身体全体を使ったリズム取りや前打ちなども毎日のようにやっていました。
でも、いま振り返ると、ひとつだけ盲点がありました。それが「お腹」です。お腹を”動きに使う”ことはしていても、お腹そのものを「関節」として意識し、アイソレーションの対象にするという発想が、当時の自分にはすっぽり抜けていたんです。
実は大きな関節として働く「お腹」

なぜお腹が盲点になりやすいのか。それは、お腹という部位が骨格的にとても特殊な場所だからだと思います。
肋骨の下縁から腰(腸骨)にかけて、身体を支える骨は腰椎1本だけ。つまりお腹周辺は、身体全体で見れば「ひとつの大きな関節」のようなものなんです。首や肩、膝のように骨と骨が明確にぶつかり合う関節とは違い、動きを制限するものが少なく、自由度が驚くほど高い。
このことに気づいたとき、腑に落ちる感覚がありました。「ここを自在にコントロールできるようになれば、ダンス全体のスキルが大きく向上するのでは」と。実際、お腹をひとつの可動域の広い関節として捉え直してから、ダイナミックな身体の動きができるようになり、リズム取りもより滑らかで、気持ちのいいグルーヴを生み出せるようになりました。
イメージとしては、お腹を横にずらす「スライド系」にすれば動きは大きく、円を描くような回転を意識した「カール系」にすれば身体のしなやかさやグルーヴ感につながります。各関節のアイソレーションとは比べものにならないくらい、ダンス全体への影響が大きい部位。それが僕にとってのお腹でした。
お腹のアイソレーションをするメリット

お腹のコントロールを意識するようになってから、いちばん変わったと感じるのはヒット(ポップ)の質です。下半身で作った振動と上半身で作った振動が、お腹を通じてきれいにシンクロし、身体全体で強いヒットに仕上がる感覚があります。これが音にハマったときの気持ちよさは、他では味わえません。
ダウン・アップのリズム取り、いわゆる上下運動についても、お腹を上下に動かす感覚を取り入れることで、かなり質の高いリズム取りができるようになりました。動き自体も大きくなりましたし、何より体幹であるお腹を主体に動かす意識を持つことで、腕や脚が自然とリラックスできる。結果として、しなやかで、その時の気分に応じた自由なムーブが生まれやすくなったんです。
お腹から先導して身体全体を動かすイメージ。言葉にすると単純ですが、これを持てるかどうかで、ダンスの表現の幅がまるで変わってきます。
まとめ
首・胸・腰という定番のアイソレーションに加えて、「お腹」をひとつの大きな関節として意識してみる。それだけで、ダイナミックさ、グルーヴ感、ヒットの質、リズム取りの精度まで、驚くほど多くのことが変わっていきます。
正直、ダンスを始めたばかりの頃にこの感覚に気づいていたら、今頃もっとレベルが上がっていただろうなと思います。だからこそ、これからダンスを始める方には、ぜひ早いうちからお腹のアイソレーションを意識してみてほしいです。良いことずくめですし、きっとダンスがもっと楽しくなるはずです。


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